2型糖尿病の病態としてインスリン分泌不全とインスリン感受性低下(抵抗性)があり、日本人の多くは遺伝的に分泌不全であるというのが従来の定説でした。
しかし実際は、増加している糖尿病の原因はインスリン感受性低下であると考えています。
以前はインスリン分泌刺激薬のSU剤やインスリンしか治療薬がなかったためにインスリン感受性改善のための薬物療法は行えなかったのです。その後、メトホルミンが再評価され、更にピオグリタゾンが登場してきました。これらは共に大血管障害予防効果が証明されており、これらを服用することにより心筋梗塞や脳卒中を予防することを期待できます。
ピオグリタゾンの動脈硬化抑制作用は心臓の冠状動脈の血管内視鏡検査で確認されています。
またメトホルミンには抗腫瘍作用があることが示唆されており癌の予防になる可能性も出てきました。
欧州で行われた研究で死亡率が最も低いのがピオグリタゾンで2位がメトホルミン、SU薬やインスリンは死亡率が高いという結果もあります。メトホルミンとピオグリタゾンの併用療法は強力で2型糖尿病の場合、驚くべきことに長年のインスリンからの離脱、中止が可能な症例が多くあります。
中には約60単位のインスリン治療を受けていた方でもインスリンを中止できる場合があります。インスリン量とは関係ないのです。(ただしあくまで2型糖尿病の場合です。1型糖尿病の場合はインスリン治療が必要です)このような考えは比較的新しい考え方で、このような考えで治療を行っている医師は全国でもまだ少数です。
参考文献
1) 山本哲郎「転換期の2型糖尿病治療」臨床と研究 第86巻12号
2) 山本哲郎「インスリン抵抗性改善剤併用によるインスリン離脱療法」第56回日本糖尿病学会抄録
3) Steven E Nissen et al. Comparison of Pioglitazone vs Glimepiride on progression of coronary atherosclerosis in patients with type 2 diabetes The PERISCOPE randomized controlled trial JAMA 2008;299
4) Tzoulaki Iet al. Risk of cardiovascular disease and all cause mortality among patients with type2 diabetes prescribed oral antidiabetes drugs:retrospective cohort study using UK general practice research database BMJ 2009;339
ビタミンC療法 Vitamin C therapy