今、2型糖尿病治療において、日本ではDPP4阻害薬が注目されており多くの医師が第1選択薬として使用し始めています。
この薬剤は日本で発売後約7年が経過していますが、長期の副作用も含め未知の点が多くある薬剤です。
第1選択薬とするには時期尚早であると思えます。
現時点において私は、メトホルミンを第1選択薬として使用しています。
この薬剤は約60年前にフランスで薬用植物から作られた薬で大規模臨床試験においても心筋梗塞など血管合併症の予防効果が実証されており、さらには近年癌予防効果や癌死亡率低下など抗腫瘍作用が多数報告されています。
米国では約25年前より再評価され、肥満の有無に関係なく2型糖尿病と診断されたその日から服用開始すべき薬剤として高く評価されています。
インスリン抵抗性改善作用(インスリンの効き目が良くなる)による血糖降下作用、体重増加抑制作用、抗炎症作用、抗酸化作用があり、低血糖も起こしにくく、薬価も安く、安全性も確立された薬剤です。
ただし腎不全やアルコール依存症の方は禁忌となります。
抗加齢医学の分野ではアンチエイジングに有効な唯一の薬剤として研究されています。しかしながら、日本では残念ながら、まだ多くの糖尿病患者さんがこの薬剤の恩恵を受けていません。日本は依然として、インスリン分泌促進薬であるSU薬を中心とした治療が主流で、新薬であるインクレチン関連薬がそれに加わった状況です。今の日本の糖尿病治療は混沌としているのです。