間欠的DPP4阻害薬療法|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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当院の糖尿病治療法

間欠的DPP4阻害薬療法

DPP4阻害薬は現在、日本では頻用されている薬剤です。

日本人はインスリン分泌能が低下しているという長年の固定観念のため、第一選択薬となりつつある薬物です。単剤では低血糖を起こしにくく、体重も増加しにくい薬剤であり、血糖降下作用もある程度期待できる薬物です。ただし約半年位から効きにくくなるという耐性の問題も指摘されています。

またインクレチンは通常体内では数分間で不活化されているホルモンであり内分泌学の立場や生体の合目的性から考えても、その活性を人為的に継続させることには長期的な問題があるのではないかという懸念があります。

さらには2013年に米国UCLAのButler先生が指摘した膵癌のリスク増大の懸念もまだ完全には解決していません。膵癌は早期発見自体が困難であり今までの大規模臨床試験でも詳細な検査は行われておらず末期の膵癌の発見において明らかな有意差はなかったという結果だけで実際は何もわかってはいないのです。

 

これら長期的副作用の懸念を解決するため、私は、通常朝と夕に服用する半減期7時間のアナグリプチン(スイニー®)を朝のみもしくは食事の時間帯に合わせて1日1回服用することによって日中のみ効かせて夜間睡眠時は減薬状態にする間欠的DPP4阻害薬療法を行っています。このことによって長期的副作用が防げると考えています。
その場合の血糖降下作用も他のDPP4阻害薬と変わらず、朝食後血糖はむしろより低下したという報告があり、夜間減薬することにより耐性を防ぐことが可能ではないかと考えています。

参考文献
山本哲郎 「間欠的DPP4阻害薬療法(Anagliptin100mg1日1回投与)による長期的副作用防止の可能性とその血糖降下作用について」
第61回日本糖尿病学会年次学術集会抄録