ピオグリタゾン(アクトス®)は、日本が開発した世界に誇るべき画期的なインスリン抵抗性改善薬(インスリン感受性改善薬)です。
約13年間にわたるピオグリタゾンの私の臨床経験より心筋梗塞や脳卒中の予防効果を実感しており動脈硬化の抑制効果では今ある糖尿病薬の中で最強であると考えています。そして効果が持続するのも特徴です。インスリン抵抗性の研究で著名な米国テキサス大学のデフロンゾ教授はピオグリタゾン中心の糖尿病治療を今でも提唱されています。
ピオグリタゾンは、メトホルミンと共に大規模前向き試験で心筋梗塞や脳卒中を予防することが証明された薬剤です。そして他の糖尿病薬と比較して総死亡率が最も低いという報告もあります。
またフランスの後ろ向き研究で問題になった膀胱癌の件では、この研究に対して専門家から異議が出されており、米国で行われた前向き研究の約10年の結果を見ると膀胱癌発症率の増加はなかったのです。
糖尿病の治療薬は、最低でも10年の時間の試練に耐えられなければ信頼できないと考えています。時間の重みをおろそかにしてはなりません。命を守るという観点から、ピオグリタゾンは発売後約17年が過ぎ、今後メトホルミンと共に糖尿病治療の中心になるべき薬剤であると確信しています。
参考文献
Ralph A. Defronzo et al. Pathophysiologic approach to therapy in patients with newly diagnosed type 2 diabetes Diabetes Care 2013;36