腎臓に働き尿糖を増加させることにより血糖を低下させる薬剤です。
原点はリンゴの樹皮に含まれるフロリジンという化学物質です。
インスリンを介さず、インスリン血中濃度を下げる作用があるため、メトホルミン、ピオグリタゾン、αグルコシダーゼ阻害薬に次ぐ第4番目の血中インスリン低下薬と考えることができます。また体重減少効果を期待できる治療薬です。
2015年EMPA-REG OUTCOMEという欧米の大規模臨床研究で心血管死、全死亡を有意に低下させたことで話題になりました。しかしながら、約3年前に日本で発売されたとき、因果関係はすべて明らかではありませんが約1年間で15名の方々が死亡されています。
私の臨床経験でも、この薬剤の反応には個人差が大きく、著効を示す方もあれば、副作用で服用中止せざる負えない方々もおられることがわかってきました。
いま流行りの、ある集団の平均値で治療を考えようとするEBM(Evidence-based Medicine)に警告すべく現れた薬剤ともいえるのではないかと考えています。患者の方々を平均的な患者の方々とみるのではなくそれぞれが違う方々として診ていくことが非常に必要な薬剤です。以上より、肥満があり、減量困難な、脱水予防のため水を飲むことが可能な方々にこの薬剤による起死回生の効果を期待して治療を行っています。ただし慎重に経過を拝見しながら治療を行っています。今後期待できる薬剤です。