糖尿病の発症原因の一つに細胞内のエネルギー産生器官であるミトコンドリアの機能異常があります。
ミトコンドリア機能低下による膵β細胞のアポトーシスによる破壊や機能低下、骨格筋や肝臓のインスリン感受性低下、活性酸素過剰産生による酸化ストレス増加などがその病態と考えられています。
イメグリミン(ツイミーグⓇ)はメトホルミンに類似した構造式の主に日本で開発された新薬です。イメグリミンは、ミトコンドリア機能の改善薬であり、活性酸素抑制による酸化ストレス低下作用をその特徴としています。血糖に関しては、血糖依存性にインスリン分泌を促進し、骨格筋や肝臓のインスリン感受性を亢進させ、2方向から血糖を下げていきます。更にアポトーシス抑制による膵β細胞保護作用や動脈硬化抑制、心臓機能改善、脳保護による認知症予防、肥満改善などの合併症予防が期待されます。
副作用はメトホルミンと同様に悪心、下痢、便秘などの消化器症状が出現する場合があります。
約100年前に創られたメトホルミンと新薬イメグリミンの併用療法は血糖コントロールを劇的に改善する場合があることを経験しています。そしてこの組み合わせが今後、糖尿病の本質的治療薬となる可能性を秘めています。