薬物療法では、低血糖をおこさず、血中インスリン濃度をできるだけ低値に保ちながら、適切な体重を維持し、そして膵β細胞を保護しながら血糖コントロールを行うことが大切です。
当クリニックではそのために2型糖尿病に対してメトホルミンやピオグリタゾンなど「血中インスリン降下薬」としてインスリン抵抗性改善薬を中心とした薬物療法を行っていきます。
これらは大血管を守り心筋梗塞、脳卒中を予防する作用もあります。
2016年にはメトホルミンとピオグリタゾンの併用が心筋梗塞と脳卒中の発症を最も抑制できるという研究結果も報告されています。
更にメトホルミンには癌予防作用も期待できます。
新薬であるSGLT2阻害薬も血中インスリン降下薬として適応のある方に慎重に治療を行なえば期待できる薬剤です。
なおDPP4阻害薬は長期投与の安全性が不明のため日中のみ効かせて夜間を減薬した状態にできる薬剤を使用して間欠的DPP4阻害薬療法により長期的副作用を予防しています。
また抗酸化、血管免疫強化療法としてのビタミンC療法、循環障害改善や抗慢性炎症療法としての生薬療法、更には実行可能な穏やかな運動療法も行いながら総合的に健康的な長寿を目指していきます。
糖尿病治療は、従来の血糖さえ下げればよいという時代は終わっており、どのような薬剤で下げるかが寿命に大きく影響してきます。そして抗酸化アプローチなど多方面の治療が大切になってきています。
糖尿病治療はいわば予防医学の集大成なのです。
参考文献
Julia Hippisley-Cox et al. Diabetes treatments and risk of heart failure, cardiovascular disease, and all cause mortality: cohort study in primary care BMJ 2016;354:i3477