地黄、桂皮、人参などの生薬に血糖降下作用を指摘されており軽度の血糖降下作用は期待できますが、実際は血糖コントロールに関しては現代医学が優れており、メトホルミンなど評価の高い化学薬品による治療が基本です。
メトホルミンも化学薬品ではありますが約60年前に薬用植物から作られました。しかしながら血糖コントロールだけでは合併症は完全には予防できないこともわかってきました。
そのため糖尿病合併症の予防と治療に対して漢方治療は有効と考えます。漢方は約二千年の歴史を持つ自然を尊重する東洋思想から生まれ多成分系の生薬を使った副作用の少ない優しい医学です。
科学的漢方医学の立場から考えた場合、漢方治療の特に優れている点は、慢性炎症に対する抗炎症剤と循環障害に対する駆瘀血剤です。
これらを合併症に対して使用していきます。血管合併症の病態は血管内皮細胞の「慢性炎症」と考えられています。それに対して抗炎症作用のある生薬を組み合わせた処方で対応します。
慢性炎症に対する化学薬品は副作用の問題があります。また血管障害による「循環障害」を漢方医学的には「瘀血」と考え駆瘀血剤による治療を行っていきます。駆瘀血剤は漢方の奥義とでもいうべき薬剤です。さらに漢方は止血作用も優れており糖尿病性網膜症による眼底出血の予防治療にも有効であると考えられます。
またメタボリックシンドロームに対しても漢方治療が有効な場合があります。