新型コロナウイルス感染予防のため日光浴によりビタミンDを作ったほうがよい|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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院長コラム

Doctor's column

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ビタミンDは太陽のビタミンである

院長コラム2020.08.03

 

 

 

ビタミンDは「太陽のビタミン(Sunshine vitamin)」と呼ばれており、太陽光線から皮膚において生合成できるビタミンです。更に肝臓で循環型ビタミンD 25(OH)D に変換され必要に応じて腎臓などで活性化され活性型ビタミンD  1,25(OH)D となります。。そして受容体のある細胞の核の遺伝子に作用していきます。正に太陽エネルギーを細胞に伝える伝達分子なのです。ビタミンDは皮膚で合成された後、皮下脂肪で一部蓄えることが可能であると言われています。ただし肥満の方は脂肪とビタミンDの結合が強過ぎて放出しにくくビタミンD欠乏の状態が起こりやすいとも指摘されています。

 

以前はカルシウム代謝に関与して骨や筋肉を強化するビタミンとして知られていましたが、活性型ビタミンDの受容体が全身の細胞に存在することがわかり細胞を守る多くの作用があることが明らかになりつつあります。リンパ球や貪食細胞などの免疫細胞に活性型ビタミンD受容体があることからもビタミンDに免疫の強化や調節作用があると考えられています。膵臓にも活性型ビタミンD受容体があり1型糖尿病や2型糖尿病の発症を抑制するのではないかとも言われています。夏は血圧が低下し、血管に活性型ビタミンD受容体が存在することよりビタミンDが血圧にも関与する可能性が示唆されています。脳にも活性型ビタミンD受容体があり認知症の予防を示唆する研究もあるようです。活性化型ビタミンDには悪性腫瘍の増殖抑制作用が認められており、大腸細胞、前立腺細胞、乳腺細胞などでは局所的にビタミンDを活性化できその局所的作用によりこれらの細胞の癌化予防が期待できるという仮説があります。すなわちビタミンDは「正常細胞が異常細胞へ変性するのを阻害する」作用のあるビタミンでありホルモンでもあると考えることができるのです。

 

 

 

 

ビタミンDは紫外線の一種であるultraviolet B により皮膚で生合成されますが、紫外線の強さは季節により違います。冬は紫外線の強さが低下して日光を浴びたとしてもビタミンD合成量は少なくなります。また太陽光線の入射角度も紫外線の強さに影響があり正午から午後2時の間が最も効果的であると言われています。夏から秋にかけて紫外線を浴びることはビタミンDの合成を促し、皮下脂肪に蓄えることになり、来る冬のウイルス感染症に備えるという意義があるのです。戦後昭和の家族そろっての海水浴が懐かしく思い出されます。

 

具体的には、1週間に3回、一回15分から30分、午前10時から午後3時の間の紫外線の強い時間帯に前腕や手、足などを日光浴することでビタミンDの必要量が合成されると言われています。ただし目を紫外線から守るためサングラスなどは使用したほうがよいでしょう。また夏は熱中症に注意が必要です。

 

スペイン風邪も冬に流行しています。従来のコロナウイルスもやはり冬に流行することがわかっています。すなわち冬に人間のビタミンD血中濃度が低下することが一つの原因ではないかという仮説があります。新型コロナウイルス予防のためにも来るべき冬に備えて今年の夏から秋はビタミンDを皮下脂肪に蓄えておく必要があると考えられます。

 

紫外線の害を恐れるあまり過剰に日光を避ける風潮がありますが、適度の日光浴は健康のために不可欠であることを理解する必要があります。結核、くる病、乾癬などに対して病院のバルコニーで太陽光線療法( Sun therapy, Heliotherapy )が行われた医学の歴史もあります。太陽光にはビタミンD以外の恩恵も期待されており、ビタミンDをサプリメントで摂取することを検討する前に、人込みは避けながら外に出て日を浴びる( go outside )ことを自然の恵みに感謝しつつ優先すべきだと考えています。

 

 

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