院長コラム2017.12.21
和田敬先生は, 私の臨床心臓病学の師です。残念ながら昨年12月に89歳で他界されました。
和田敬先生は、昭和25年、戦後間もないころ渡米され、ジャップと言われながらも苦労の末、全盛期の米国臨床医学を徹底的に学ばれています。内科学、特に臨床心臓病学をマスターされました。そしてカリフォルニアのプリンツメタル先生の許で研究され、有名な異型狭心症を世界で初めて発表されました。約10年の米国留学の後もその独創性で臨床心臓病学の分野で活躍され、特に心電図学で素晴らしい仕事をされました。私は和田敬先生から主に三つのことを教わりました。
第一は、権威に頼ることなく、独立自尊を貫く、男の生き方です。
第二は、医学においても定説を疑い自分の頭で考える独創性の大切さです。
第三は、一人一人の患者を丁寧に診ていく誇り高き内科医の真髄です。迫力のある診察でした。鎌倉の病院で初めて先生の診察を拝見した時の感動を今でも覚えています。
先生が亡くなられる数日前にお見舞に伺いましたが、その大きな手を握らせていただきながら不覚にも涙がほとばしり出て仕方がありませんでした。愛すべき偉大なる我が師。和田敬先生にお会いできたことに心から感謝し、医学の発展のために更なる鍛錬を続けていくことを決意しています。