院長コラム2018.01.01
新しい年2018年が始まりました。
近年のEBM(Evidence -based medicine)の流行で、再現性すら明らかでない、真の科学とは言えない大規模臨床試験の結果が最も重要であるかのような幻想が医学の世界に蔓延しています。
そのため総合的判断が誤っていても気づかない。まさにcan’t see the forest for the trees(木を見て森を見ず)の状況が生じています。
大規模臨床試験の結果はあくまである特定の集団の平均に関するひとつの情報であり、多様な個々の患者に対して最善である保証はありません。いわんや欧米の結果を日本人に当てはめるのには慎重でなくてはなりません。特に食事の問題は、欧米と日本では生まれた時から食べているものが大きく違うため、欧米の研究結果を懐疑的に解釈する必要があるのは当然です。
臨床医学においては、長年理想をもって医学の鍛錬を行っている医師であるならば、医師自身の内部から湧き出てくる直感も大切にすべきことです。科学の歴史において過去の天才達も鋭い直感を大切にして人類に貢献するような大きな発見をしてきました。論理的なものだけが真理であるとは言えないのです。
学究的臨床医は、大規模臨床試験を冷静に見て、自分自身の直感をもっと大切にすべきであると信じています。