院長コラム2017.07.20
「医学の難しさは、人間が一様でなく、さまざまな病像を示すことにある。」
人間が内も外も同じ鋳型で造られていて、顔の造作ばかりか、体質、刺激に対する反応までもが仲間の人間と違わないとしたら、医学はとうの昔に確固たる原理を築き上げていたはずである。しかも、人間の反応自体が多種多様であるばかりでなく、我々医師も誤りを犯しやすい。皮相的な観察のもとに結論を導くという誰にもある致命的な欠点に陥りやすく、また我々の心は絶えず安易さに惑わされ、一つ二つの経験だけで型にはまった考え方をするようになる。(平静の心 オスラー博士講演集より)
米国臨床医学の父と呼ばれているウィリアム オスラー博士(1849-1919)が残された教訓の一つです。
このことは、医師として多くの臨床経験を医学の理想を抱きながら積み重ねることによって初めて開眼できる臨床医学の真髄です。
EBM(Evidence-based medicine)にはオスラー博士の教えを忘れたかのような側面があるのです。