間欠的DPP4阻害薬療法|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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院長コラム

Doctor's column

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間欠的DPP4阻害薬療法

院長コラム2018.06.23

第61回日本糖尿病学会で発表したものです。

 

DPP4阻害薬は現在日本で2型糖尿病に対して第一選択薬にもならんばかりに使用されています。確かに低血糖も起こさず血糖を程よく下げる薬剤でありこの薬剤の恩恵を受けている患者の方々もおられます。

しかしながらその長期的副作用はまだ不明な点が多く本来はもっと慎重に使われるべき薬剤であると考えています。この薬剤は血糖降下作用のあるインクレチンという消化管ホルモンをその不活化作用のあるDPP4という酵素を阻害することによって活性を維持し血糖を下げるものです。しかしながらインクレチンという消化管ホルモンは通常生体内では数分で不活化されています。またDPP4は免疫に関与する酵素です。この薬剤は個体の自己保存の生理的機構をないがしろにしているとも考えることができるのです。

長期的副作用として全米を揺るがしたのは2013年にUCLAのButler先生が指摘した慢性膵炎や膵癌のリスクです。其の後もこの問題は未解決のまま続いており欧米の医学雑誌では議論が行われています。

そこで私は、本来1日2回服用するAnagliptinという半減期の短いDPP4阻害薬を1日1回だけ使用して夜間を減薬状態すなわちDPP4阻害を低下させる状態を意図的に作ることを考えました。すなわちDPP4は間欠的に生体内で効いていることになります。このことによって長期的副作用が防げることが期待できます。そして1日1回でもその血糖降下作用は十分あることも確認しています。このような工夫はいわゆる薬のさじ加減というもので今流行りのEBM(Evidence-based medicine)を超えた臨床医学だと考えています。

薬剤の副作用防止のためにも連続的ではなく間欠的に効かせていくことが良い場合もあるのです。

 

参考文献

山本哲郎 「間欠的DPP4阻害薬療法(Anagliptin100mg1日1回投与)による長期的副作用防止の可能性とその血糖降下作用について」

第61回日本糖尿病学会年次学術集会抄録