Q&A|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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Q&A

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Q. 糖尿病の診断はどのようにするのか?

A.

糖尿病は慢性的な高血糖を診断の根拠としています。しかしながら糖尿病の診断基準も時代と共に変わってきました。変わり得るものであることを認識する必要があります。現時点では、
(1) 空腹時血糖が126mg/dl以上
(2) 食後随時血糖が200mg/dl以上
(3) ブドウ糖負荷試験により負荷前血糖が126mg/dl以上または負荷後2時間血糖が200mg/dl以上
(4) 血糖の平均値を示すヘモグロビンA1cの値が6.5%(NGSP)以上
以上の基準が示されています。

Q. 境界型とは何なのか?まだ糖尿病ではないから安心していいのか?

A.

75gブドウ糖負荷試験で空腹時血糖が110mg/dl以上126mg/dl未満、もしくは負荷後2時間値が140mg/dl以上200mg/dl未満の場合、境界型と定義されています。朝食前の血糖は正常に近いのですが、食後の高血糖や高インスリン血症を引き起こしている場合もある状態です。「糖尿病予備軍」と一般に呼ばれていますが、正確に言えば「前糖尿病状態」というべき病態です。しかしながら、まだ糖尿病ではないと安心してはいけません。重要な点は、前糖尿病状態の段階から動脈硬化や癌の危険性が高くなっているという点です。特に内臓脂肪の多いメタボリックシンドロームの場合は心筋梗塞、脳卒中、癌の警戒警報であると考えるべきです。この時点から食事、運動療法を積極的に行い、必要ならば早期の薬物療法を行っていくことが大切です。

Q. 糖尿病は遺伝するのか?

A.

1型糖尿病、2型糖尿病共に遺伝的素因が発症に関与すると言われています。しかしながら、糖尿病の家族歴のある方がすべて糖尿病を発症するということはなく、生活習慣などの環境因子が発症に大きく影響していきます。遺伝だと言ってあきらめてはいけません。

Q. 糖尿病は治らないのか?

A.

2型糖尿病の病因の一つである膵β細胞の機能および量的低下は、実際には完全に回復することは困難な場合が多いと現時点では考えられています。ただし、血糖を正常化することによって糖毒性が解除され膵β細胞の機能が復活する可能性はあります。またもう一つの病因であるインスリン感受性低下(インスリン抵抗性)は肥満の是正、運動療法などによって改善が可能です。

ですから理論的には薬物療法なし、または一度始めた薬物療法の中止も可能ですが、食事量の制限、運動療法は継続する必要があります。その観点からは現時点において厳密な意味では糖尿病は根治しないということになります。しかしながらバランスのとれたカロリー制限食や適度な運動は抗加齢医学においても健康的な長寿を達成する方法であると考えられています。ですから決して悲観する必要はないのです。糖尿病になったおかげで治療次第では長寿を目指せるようになることも可能なのです。

Q. 2型糖尿病で一度インスリンを始めると止められないのか?

A.

2型糖尿病の病歴が長く膵β細胞が量的に減少してインスリン分泌量が著明に低下している状態ではインスリンを中止できない場合もあります。しかしながら2型糖尿病の場合、インスリン感受性低下(インスリン抵抗性)が大きく関与しているため、インスリン抵抗性改善薬を上手に使用することによってインスリンから離脱できる場合も多くあります。この方法は比較的新しい考え方で、このような治療を行っている医師は全国でもまだ少数です。日本人の2型糖尿病はインスリン分泌不全が主な原因であるからSU薬やインスリンによる治療が必要になる場合が多いという従来の固定観念から脱却できていないのです。当クリニックの経験では、他院でインスリン1日量約60単位による治療でもコントロール不良であった方が約3ヶ月でインスリンから完全に離脱できてヘモグロビンA1c(JDS)も6%まで改善された例もあります。インスリン量とも関係ないのです。

Q. ストレスは糖尿病によくないのか?

A.

精神的肉体的ストレスにより副腎で副腎皮質ホルモンが合成され、血糖を上昇させ、そして活性酸素も発生します。更に免疫に重要なNK細胞を減少させます。また副腎皮質ホルモンの合成にビタミンC、Eが消費されます。このように過度のストレスは科学的にも糖尿病に良くなく糖尿病の原因にもなります。

Q. メタボリックシンドロームとは何なのか?

A.

カロリー過剰(特に脂肪)、運動不足、アルコールなどにより脂肪、特に内臓脂肪が多くなり一種の毒素を出すことによってインスリン感受性が悪くなり高インスリン血症となり、糖尿病、高血圧、高脂血症、非アルコール性脂肪肝炎、慢性腎臓病などの多くの病気が出現してくる病態です。更には致命的な心筋梗塞、脳卒中、癌を発症する危険性も出てきます。酸化ストレスの多い状態と考えられメタボリックシンドロームによる糖尿病は非常に危険であると考えられています。

Q. 糖尿病の飲み薬にはどのようなものがあるのか?

A.

大きく分けてインスリン分泌刺激薬と非分泌刺激薬に分類できます。

(1) インスリン分泌刺激薬

A.スルフォニルウレア薬(アマリール、グリミクロン、オイグルコン、ダオニール®)
膵β細胞を刺激してインスリン分泌を促進する薬剤です。日本では多用されている薬剤です。長時間膵β細胞を刺激しインスリン分泌を促すため低血糖(特に夕食前や夜間)の危険性があり、空腹感を亢進させ、膵β細胞の疲弊、不必要な高インスリン血症、体重増加を引き起こす危険性もあります。
B.速攻型インスリン分泌刺激薬(スターシス、ファスティック、グルファスト、シュアポスト®)
膵β細胞を刺激して短時間インスリン分泌を促進する薬剤です。SU薬よりは低血糖の危険性は低いといわれておりSU薬より安全性が高いと考えられています。
C.DPP4阻害薬(グラクティブ、ジャヌビア、ネシーナ、エクア、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザ、ザファテック、マリゼブ®)
約7年前に発売された小腸粘膜から分泌されるホルモンであるインクレチンの分解を抑制し血中濃度を高めることによって膵β細胞からのインスリン分泌を促進する薬剤です。血糖に応じてインスリン分泌を促進するので低血糖の危険性は少ないと言われています。また血糖を上げるホルモンであるグルカゴンを抑制する作用や膵β細胞保護作用もあるといわれています。ただし膵炎や膵癌の危険性など長期の安全性はまだ完全には確認されていません。

(2) インスリン非分泌刺激薬

A.メトホルミン(メトグルコ、グリコラン、メデット®)
約60年前に薬用植物からフランスで開発された薬剤です。主に肝臓や筋肉に働いてインスリン感受性を良くする(インスリン抵抗性を改善する)薬剤です。小腸に働いて糖の吸収を遅らせる作用もあります。また最近では抗癌作用も指摘されています。体重増加や低血糖は起こさないといわれています。食前食後共に血糖を下げ現時点において欧米では糖尿病治療の第一選択薬となっています。
B.ピオグリタゾン(アクトス®)
約17年前に発売され日本で開発された主に脂肪に働いてインスリン感受性を良くする(インスリン抵抗性を改善する)薬剤です。アディポネクチンやHDLコレステロールの上昇作用もあるといわれています。経口糖尿病薬の中で最も死亡率を低下させることを示す論文が欧米で出ています。また動脈硬化抑制作用が心臓の冠状動脈の血管内視鏡検査で確認されています。2012年にフランス人男性で膀胱癌との関連を指摘する論文が出ましたが、その後アジア人では関連は認められず、むしろ肝臓癌のリスクを下げると報告されています。2015年に発表された米国での10年間の前向き試験の結果からも膀胱癌のリスクは否定されています。
C.αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ、セイブル®)
小腸での糖質の吸収を遅らせ食後血糖を下げる薬剤です。炭水化物を多く摂る日本人には有効な薬剤です。しかしながら炭水化物摂取量の少ない欧米では積極的に使われていない薬剤です。前糖尿病や2型糖尿病の心筋梗塞予防、高血圧改善、体重減少を示唆する論文が出されています。
D.SGLT2阻害薬(スーグラ、フォシーガ、デベルザ、アプルウェイ、ルセフィ、カナグル、ジェディアンス®)
日本では約3年前に発売された腎臓から糖を尿に排泄させることによって血糖を下げる薬剤です。体重減少作用やインスリン血中濃度を低下させる作用があります。2015年欧米から発表されたEMPA-REG OUTCOMEという大規模臨床試験の結果、心血管死、全死亡を有意に下げたと報告されています。しかし因果関係はすべて明らかではありませんが日本で発売後1年の間に約15名の方が死亡されたとの報告があり日本人における安全性に大きな疑問がもたれています。脱水や交感神経興奮作用の危険性もあります。また筋肉減少症を引き起こす危険性もあり長期服用は避けるべきであるとも考えられています。適応を慎重に選べば期待できる薬剤ですが、注意が必要です。

Q. 糖尿病の注射薬にはどのようなものがあるのか?

A.
(1) インスリン
持続時間によって超速効型、速効型、中間型、混合型、長時間持続型があります。1921年のバンチングとベストによるインスリンの発見以来、1型糖尿病患者の方々の命を救ってきたすばらしい薬剤です。ただし2型糖尿病の治療に関しては、外因性高インスリン血症により動脈硬化や悪性腫瘍を引き起こす危険性、そして低血糖による心筋梗塞、脳卒中の誘発など陰の部分も指摘されています。2013年に発売された長時間持続型のインスリンデグルデク(トレシーバ®)は1日1回の投与で24時間以上平坦でピークのない血中濃度が維持され夜間の低血糖が少ない優れたインスリンでありインスリン治療が格段と進歩しました。
(2) GLP-1受容体作動薬(ビクトーザ、バイエッタ、ビデュリオン、リスキミア、トルリシティ®)
インスリン分泌を刺激する消化管ホルモンであるGLP-1の類似物質です。血糖依存性にインスリン分泌を刺激し、血糖上昇ホルモンであるグルカゴン分泌を抑制します。また食欲抑制作用もあり肥満症にも有効であるといわれています。そして膵β細胞保護作用も期待されています。しかしながら日本では発売されて約7年ですがまだ膵炎や膵癌の危険性など長期の副作用の有無は完全にはわかっていません。