ブドウ糖ー脂肪酸サイクル(Randle cycle)について|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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ブドウ糖ー脂肪酸サイクル(Randle cycle)について

院長コラム2019.04.16

インスリン感受性に関与する重要な栄養素に遊離脂肪酸(free fatty acid)があります。この遊離脂肪酸の血中濃度が増加することによって炭水化物代謝異常が引き起こされるという仮説を脂肪酸症候群(Fatty acid syndrome) として1963年に英国ケンブリッジ大学のRandleがLancetという医学雑誌に発表しています。この仮説は炭水化物代謝異常が他の栄養素である脂肪により引き起こされるという革新的な視点を開きました。ここからいわゆる炭水化物代謝異常における脂肪毒性(lipotoxicity)という概念が生まれてきました。

 

体内の中性脂肪(triglycride)は分解してグリセロール(glycerol)と遊離脂肪酸(free fatty acid) へ分解されます。これを脂肪融解(lipolysis)といいます。

 

ブドウ糖と遊離脂肪酸は輪のような関係をもち、平衡状態を維持しています。すなわちエネルギー源としてブドウ糖と脂肪酸が競合し逆の関係になっています。エネルギー源としてブドウ糖か脂肪酸かどちらかを選ぶのです。すなわちブドウ糖の供給が多いと脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出は減り、逆に遊離脂肪酸が多くなるとブドウ糖の筋肉への取り込みは減少します。このような関係をRandleは「ブドウ糖ー脂肪酸サイクル(Randle cycle)」と呼びました。インスリンはブドウ糖の筋肉への取り込みを促進し、脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出を抑制します。すなわち遊離脂肪酸の過剰はこのインスリンの働きを弱めると考えることができます(インスリン感受性低下)。

 

絶食や炭水化物制限により脂肪組織の中性脂肪が分解して血中に遊離脂肪酸が放出されることが知られています。内因性の高遊離脂肪酸血症といえる病態です。そしてそのことによりインスリンによるブドウ糖の筋肉への取り込みが低下します。すなわちインスリン感受性低下による糖処理能力低下(耐糖能低下)が引き起こされることになるのです。