冠動脈狭窄部位が|福岡市博多区内科・糖尿病内科 | 山本診療所

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院長コラム

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心筋梗塞は冠状動脈狭窄が高度の部位に起こる訳ではない

院長コラム2018.09.22

糖尿病の方が心臓の三本ある冠状動脈の動脈硬化を引き起こしやすいことはよく知られています。しかも局所というよりは三本すべてに動脈硬化が起こりやすいと考えられています。

狭心症は、冠状動脈が動脈硬化により内腔が狭くなり心筋への血行が悪くなるため胸痛を引き起こす病態です。特に労作時すなわち心臓に負担がかかった時に酸素必要量が増えるため狭窄部の心筋への酸素供給量が不十分になり痛みが起こります。これを心筋虚血といいます。

心筋梗塞は、冠状動脈の一部が血栓により閉塞して心筋への血液循環が閉ざされることによって引き起こされます。1980年代までは狭窄の程度がひどいところに血栓が形成され閉塞すると考えられていました。しかし90年代になり狭窄度と閉塞は関係がないことがわかってきました。むしろ狭窄度の低い部分に閉塞が起こりやすいということがわかってきたのです。これは当時画期的な発見でした。1993年、私が米国留学中に、循環器専門医である米国人の師が興奮してこのことを私に説明してくれたのを覚えています。

すなわち心筋梗塞を起こすであろう血管の部位を予測することは困難であり、心筋梗塞予防のためにはあくまで食事療法も含めた内科的な最善の治療が重要なのです。外科的治療ともいえる経皮的冠状動脈形成術(PCI)は、狭心症症状の軽快、または狭窄度が高く側副血行路が発達していない部位の狭窄を解除することによる心筋への血行改善によって心筋復活を期待する治療であり、心筋梗塞の直接的な予防策ではないのです。ですから急性期ではない場合、患者の方に負担をかけるPCIの適応は慎重に決定しなければなりません。このことは2007年に発表された薬物療法とPCIを比較したCOURAGE trialという研究でも指摘しています。

循環器専門医はこのことを当然理解しているはずですが、内科医もこの病態を十分に理解して冠状動脈形成術の適応を循環器専門医と慎重に議論すべきであると考えています。